2020五輪・エンブレムデザインへ応募

『TOKYO 2020』 エンブレムデザイン公募

TOKYO 2020は、開催が決定して以来、膨れ上がる開催予算の問題や競技場建設問題、競技場所問題など、すんなりと進行した項目がないほど問題を抱えた大会計画でした。

その極め付け、と言うか、トドメと言うか、開会式まで5ヶ月を切った3月にコロナウイルスの世界的蔓延により、TOKYO 2020の開催は、1年延期することを発表しました。

思い起こせば、このエンブレムデザインから東京オリンピック2020の“疑惑とケチ”が始まったと言えるでしょう。

ある投稿がきっかけで、つぎつぎに暴かれていくデザイナーのS氏のデザインを採用させるための「出来レース」のような選考プロセスが明らかになり、ついには、一度決定したエンブレムデザインを『白紙に戻す』という事態に及びました。

初めてのデザイン公募への応募

どんな理由でデザイン公募になったかはともかく、デザインの仕事をしている以上は応募してみなくては始まりません。
サラリーマン時代は、家に帰ってきてまでデザインに脳を働かせる気力も残っていないほど会社の仕事に追われていたので、初めてのデザイン応募でした。

あまり考えすぎずにコンセプトメイク

コンセプトはあまり考えすぎずに、シンプルに考えました。
『オリンピックはスポーツと平和の祭典』ですから、日本でスポーツと言えば『運動会』

そして、祭典といえば『お祭り』です。
運動会では、応援団が鉢巻きに襷をかけて旗を振って応援。リレーの選手は、長い鉢巻きを靡かせながら校庭のトラックを疾走。

お祭りといえば、ねじり鉢巻の若い衆が、ソイヤ、ソイヤと御輿を担ぐ。半纏のたもとをたくし上げる襷。

鉢巻と襷は共に『よし頑張るぞ!』というここ一番の時に身に着けるアイテムです。

東日本大震災から立ち直る『復興五輪』と銘打った『TOKYO 2020』には相応しいコンセプトになると考えて、『鉢巻』と『襷』をコンセプトとして、同時にモチーフとしてデザインを進めていくことにしました。

鉢巻と襷を知ることから始めた

コンセプトが決まり、すぐに筆を持つ前に、まずはモチーフとした『鉢巻』と『襷』を知ることから始めました。
『鉢巻』をGoogleで検索すると、実に多種多様の『結び方』『締め方』があることに驚きました。そのなかで、ねじってピンと立たせる『ねじり鉢巻』が粋な印象で、いかにも『江戸の祭り』をイメージさせる巻き方でもあり、ギュッと結び合った力強さを感じ、これをモチーフにすることにしました。

『襷』は、二通りあります。一つはお正月の風物詩『箱根駅伝』でお馴染みの『繋ぐ襷』。もう一つは和服の袖をたくし上げる『仕事の襷』です。
僕は『襷』は、パラリンピックのエンブレムのモチーフ使用と考えていました。
パラリンピックは、なんらかの障害を持っている方が出場すします。

『襷』は仕事の障害となる袖の部分をたくし上げる役割をするので『障害を克服』と言うメッセージを含んでパラリンピックのモチーフとしました。

そして、『鉢巻』と『襷』の立体模型を作ってみることにしました。

『鉢巻』はオリンピックカラーの5色の紐を五つ編みにしてロープをつくり、丸太にねじり鉢巻きを巻きました。『襷』は、パラリンピックカラーの3色の紐を三つ編みにしてロープをつくり、丸太に締めてみました。

模型を作る意味

エンブレムデザインは、平面なので立体模型を作って見る必要もないように思えますが、美大受験の時に美術研究所の先生に『後ろを描きなさい』という言葉を毎日叩き込まれていたことを覚えています。
つまり、平面で表現するには『立体を見る力』『空間を捉える力』を養う、ということです。

また、実際に『鉢巻』と『襷』を丸太に締め込んでみて、靴紐を結ぶ時などと違う、普段使わない結び方、ロープの流れを知ることができました。


最終的に出来上がったエンブレムデザインが、それが生かされてどうかは明かりませんが、
現在(令和2年5月7日現在)、コロナウイルスの蔓延で、世界中のあらゆる活動がストップしている今こそ、
『鉢巻』と『襷』のデザインが相応しいのではないか?と思います。

最終デザイン

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